ご利用者の声

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アニコム損害保険株式会社
飯田 裕介 氏

犬の笑顔をAIがスコアリング!
AWSの画像解析を活用し、運用負荷の軽減に成功

「涙を減らし、笑顔を生みだす保険会社」を経営方針に掲げ、ペット保険「どうぶつ健保」を提供するアニコム損害保険株式会社。「入って健康になるペット保険」として2024年度にグッドデザイン賞を受賞しています。近年は、犬・猫のがん予防や腸内細菌の検査などにも力を入れており、ペットと飼い主が安心して健康に暮らせる社会づくりを目指しています。

同社では、ユーザーが投稿した犬の写真に対して、AIが笑顔度を判定するサイト「世界えがお博覧会」をアマゾン ウェブサービス(AWS)で構築し、公開しました。また、大阪・関西万博において、大阪ヘルスケアパビリオン主催のペット共生イベントが5月26日(月)・27日(火)に開催され、このイベントの中でも来場者に投稿を募り、即座にモニターに表示しました。

「当社が開発した笑顔の度合いを判定するAIモデルと、Amazon Rekognition( Rekognition )を組み合わせて、犬の笑顔をスコア化するサービスが実現できました。多くの方に楽しんでいただき、さらに2日間の万博でもほぼリアルタイムで現地の参加者の投稿をモニターで表示する仕組みを用意でき大変満足しています」(飯田氏)









飯田 裕介 氏
システム開発部 戦略システム開発課 課長

自社開発したAIモデルを活かしたユーザー参加型の企画をAWSで構築


アニコム損害保険では、どうぶつの健康を研究する中で、笑顔が多いほど健康であるという仮説にたどり着きました。そこで、どうぶつの表情を解析して笑顔度合いを判定する「笑顔判定AI」モデルを開発しました。このAIモデルを活用した企画が、「世界えがお博覧会」です。

「大阪・関西万博の大阪ヘルスケアパビリオン リボーンステージにて、イベントの幕間に来場者が投稿した愛犬の写真・お名前・笑顔度の点数を2日間限定で表示することになりました。また、万博に先んじてWebサイトを公開し、SNSやメールで写真の投稿をうながしました。そして『世界えがお博覧会』のお披露目イベントでは、これまで笑顔判定AIが判定した写真の中からスコアが高い写真を優秀賞として発表しました」(飯田氏)

AWSを選定した理由は、同社がすでにAWSを活用しており、笑顔判定AIをAWS上で開発・運用した実績があったためです。本プロジェクトでは、アクセス負荷が時間帯や状況によって大きく変動するため、高負荷時にも安定して稼働できることが要件となっていました。

特に、告知直後にはアクセスの集中が予想されたため、処理速度を維持するために、コンテナ実行環境として Amazon ECS(AWS Fargate) を採用し、オートスケーリングを設定しました。リクエスト数に応じて自動的にコンテナ数がスケールすることで、処理性能を維持し、ユーザーの体験を損なうことなく運用できました。

また万博という失敗の許されない場面に備え、十分なリソースを確保する構成としました。さらに、セキュリティ面では、Amazon CloudFront 経由で提供する管理画面に AWS WAF を適用し、メールアドレスなどの個人情報を適切に扱えるよう、堅牢なセキュリティ設計としました。

画像判定については、犬であるかどうかを Rekognition を利用し判別します。笑顔度の判定については、同社がAWS上に構築した笑顔判定AIに画像がAPI経由で連携され、判定結果が返されます。レスポンスタイム短縮のため Rekognition での判定と同時に笑顔判定AIでの点数の算出を並行して行っています。画像データは Amazon Simple Storage Service (Amazon S3)に保存され、解析結果とともに Amazon Aurora に記録されます。


画像判定については、犬であるかどうかを Rekognition を利用し判別します。笑顔度の判定については、同社がAWS上に構築した笑顔判定AIに画像がAPI経由で連携され、判定結果が返されます。レスポンスタイム短縮のため Rekognition での判定と同時に笑顔判定AIでの点数の算出を並行して行っています。画像データは Amazon Simple Storage Service (Amazon S3)に保存され、解析結果とともに Amazon Aurora に記録されます。(飯田氏)

「最終的にWebサイトに公開するかどうかは、管理画面から人間の目で確認し、承認/否認の判定を行っています。当初はこの作業が大きな負担になると考えていましたが、Rekognition を用いて、画像の主体が犬以外と判定されたものを自動的に除外する仕組みにしたことで、投稿画像の多くが問題のないものとなり、スタッフへの負荷を抑えて運用できました」(飯田氏)

 なお、パートナー選定にあたっては、複数社に提案を依頼しました。電算システムはもっともレスポンスが早く、技術的な観点から適切な提案があったため、依頼しました。 「過去にグループ会社の案件を依頼しておりAWS導入の実績が豊富ですし、AWS アドバンストティアサービスパートナーであるため安心して依頼できました。企画の詳細検討に時間がかかったため、構築期間が1-2ヶ月と短期間でしたが、要件を満たすシステムを期日までに用意してくれました。サイトオープン後にわかった課題についても、あとからアーキテクチャを変更するなど、柔軟に調整をしてくれました」(飯田氏)

投稿総数は9万件。参加者の笑顔を見られる企画となった

「世界えがお博覧会」への申込総数は92,672件*となり、過去の類似のキャンペーンでも類をみないほどの件数となりました。

「スコア結果を画像化して、SNSに投稿できるようにしたことで、その投稿を見た人にも波及して、投稿件数が増加し、多くの方に楽しんでいただきました。万博では、自分の飼い犬の写真が大きなスクリーンに表示されるのを見て、喜んでいる方の姿を直接見られたことが、うれしかったです。なお、万博会場でユーザーが投稿してからスクリーンに表示されるまでの時間は、当初は約10分程度に設定されていました。投稿後、動画を撮影しながら自分の飼い犬が表示されるのを待つ人がいたこともあり、急遽3分で表示されるように電算システムの担当者がその場で改修し、公開しました」(飯田氏)

(*2025年7月現在)



AIモデルの開発に注力し、新たな観点からペットの健康を守りたい

今後は、「世界えがお博覧会」の運用を続け、他のイベントでも活用していきたいと考えています。また、ここで収集した画像は、笑顔判定AIモデルを始めとした同社のAI開発の学習データとする予定です。

「今後もAIモデルの開発に注力していくにあたり、スケーラブルかつ柔軟なAWSの基盤を活用し、さらなるシナジーを期待しています。すでに、品種や犬同士の類似度などを判定するモデルを開発してサービスとして展開しており、犬だけでなく猫など他のペットにも対象を広げた笑顔の検証や、動画解析への展開も視野に入れています。

また、このAIモデルを他社サービスに組み込んで活用してもらうようなビジネス展開も予定しています。今回は、電算システムにて、当社の笑顔判定AIを呼び出すためのクライアントAPIを開発しましたが、今後は、他社のシステムから利用しやすいように、当社側で提供するサーバーサイドAPIの開発も進めることで、より幅広い用途での活用が可能になります」(飯田氏)





カスタマープロフィール:アニコム損害保険株式会社

創業: 2008年1月10日
資本金: 6,550百万円
従業員数: 509名(2024年3月末現在)
事業内容:ペット保険事業
URL: https://www.anicom-sompo.co.jp/

AWS アドバンストティアサービスパートナー

株式会社電算システム
電算システムは独立系の IT 企業として、システムの提案から設計・開発、ハード調達、運用保守まですべてをワンストップサービスで提供しています。AWS につきましても、「AWS Solution Provider Program」を締結し、幅広いソリューションを提供し、お客様のクラウドシフト、クラウドファースト、DX 推進を支援します。

ご利用中の主なサービス

  • Amazon Rekognition
  • Amazon ECS(AWS Fargate)
  • Amazon Aurora
  • Amazon CloudFront
  • AWS Lambda
  • Amazon Simple Storage Service(Amazon S3)


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